当たり前のことだけれど、新入社員のころはどういうふうに仕事をしたらいいのかよくわからないものだ。だが、部下を持つようになると、「こういう感じで仕事をしてくれればいいのに」とか、「こいつのこういう仕事ぶりはありがたい」というのが見えてくるようになる。
ぼくは立場上、何人もの新入社員と一緒に仕事をしてきた。その経験を踏まえて、上司に「こいつは仕事ができる」と思わせられるポイントを紹介していく。
一日の予定を立てている
セルフマネジメントは仕事においてとても重要だ。何か会社でスケジューラを使っているのなら、今日一日やることをまとめておこう。そして、目標とする時間までに仕事を終わらせられるように進めていく。そうすれば、あるタスクがどれくらいで終わるのかが自分で把握できるようになってくる。
もし立場が上になってタスク管理やマネジメントを行うときに、ざっと期間を見積もれるというのは非常に役立つ。だから、まずは自分のタスクを自分でマネジメントできるようになろう。
積極的にコミュニケーションをとる
同じ会社のひとと仲がいいとか、気軽に話しかけられるといったことは、実は貴重な財産だ。新入社員のころは遠慮しがちでなかなか難しいかもしれないが、どの会社にも必ず話好きなひとや、話しかけやすいひとがいる。自分から積極的に声をかけてみよう。
「どんなお仕事をされているのですか?」とか「仕事でちょっとわからないことがあって」など、きっかけなんかいくらでも作ることができる。
仕事は一人ではできない。だから、必ずいつかは誰かと一緒に仕事をしなければならないときがくる。そういうとき、同僚とうまくコミュニケーションをとることができる人材に、上司は「仕事を頼みやすい」と考えるのだ。
仕事が来るのを待たない
たいていの場合、上司や先輩社員というのは忙しいから、新入社員は放置されがちだ。だからと言って、仕事が降ってくるまで待つのはよくない。やることがなくなったら、自分から上司や担当社員に仕事をもらいに行こう。
「忙しそうだから話しかけづらい」という場合もあるかもしれない。もしかしたら「今は忙しいから」と本当に嫌な顔をされるかもしれない。確かにタイミングは重要だが、新入社員のころはあまり気にせず、定期的に仕事をもらいに行くようにする。
また、本当にやることがないときは、仕事の役に立ちそうなことを勉強する時間に使おう。決してネットサーフィンなどをして時間をつぶしてはいけない。上司が見ていなくても、別のひとが見ている可能性だってあるし、成長できる時間を無駄にするのはもったいない。
報・連・相
ありきたりだが、それがゆえにとても重要なことだ。定期的に「報告」「連絡」「相談」をするよう心がける。
基本的に、上司は自分によく話しかけにくる人ほど仕事を振りやすい。だから、自分から話しかけにいくというのは大切だ(上述のように、タイミングは見計らったほうがいいが)。
上司がなかなか捕まらない場合もあるだろう。そういう時は「日報」を毎日メールで送るというのも一つの手だ。「今日はこういう仕事をして、こういう結果になった。少しわからなかった点が3点あるので、時間のあるときに確認させてほしい」というような簡単なものでいい。
仕事を振られたら、快く引き受ける
ちょっと難しい仕事や、よくわからない内容の仕事を振られたときでも、快く引き受けるようにしたい。もちろん、抱えているタスクが多すぎてオーバーワークになるときは事情を説明すべきだが、そうでない場合は「やってみます」と言って引き受けるようにしよう。
新入社員のうちは、仮に与えられた仕事ができなかったとしても大丈夫だ。責任はすべて上司にあるのだから、今のうちにいろんなことにチャレンジしていこう。もちろん、わからないことは誰かに聞いたり、難しいところは上司に都度相談するなどして、自分の最善を尽くすべきだ、なんてことは言うまでもない。
上司は、気兼ねなく仕事を振れる部下がいるとやりやすい。当然スキルは磨かなければならないが、まずはどんな仕事が来ても嫌な顔をせず、引き受けるようにしてみよう。
仕事が丁寧である
コピーの取り方や、メールの書き方など、細かい部分を丁寧に仕事をするひとは必ず重宝される。「とりあえずこいつにやらせておけば間違いない」と思わせることができるからだ。
たとえば昔、いちいちメールに誤字がある部下がいた。メールなんて、一回読み返せば誤字なんてすぐ見つかるし、校正機能を使えば100%防ぐことができる。「誤字くらいで」と思うかもしれないが、逆に「誤字くらいでも」仕事ができるかできないかを判断するのには十分な材料になる。
自分の仕事のクオリティは、自分で担保するよう心がけよう。
資料作成能力がある
PCを使った資料作成が必要な会社は多い。ツールの使い方を知っていることはもちろんだが、サクッといい感じの資料を仕上げることができる能力を持っていると、仕事を任せやすい。
特に外部に提出する文書や資料の場合、多少なりとも見た目に気を使う必要があるだろう。そう言ったとき、資料作成能力というのは高く評価される。
少し勉強・実践すれば誰にでもできるようになることだから、時間のある時に習得しておこう。前回の記事が役に立つかもしれない。
清潔で礼儀正しい
身なりや言動にはできるだけ注意をして社会生活を送ろう。いずれ上司の上司や、外部のひとと仕事をする機会が訪れたとしても「こいつは人前には出せない」となってしまったら終わりだ。
以前、食事のマナーが残念な部下がいたので注意したことがある。音を立てて食べるし、肘はつくし……。上司に「連れていくと恥ずかしい」と思われないよう、普段からセルフプロデュースを意識して行動しよう。
積極的に発言する
新入社員だからと言って、ブレストや会議の場で遠慮する必要はない。自分の意見があるなら積極的に発言しよう。「ミーティングで発言しないならいないのと同じ」だと誰かが言っていたが、間違っていてもいいので手を挙げるようにしたい。
もちろん「空気を読まない」とか「ウザい」とか思われないような謙虚さは必要だが、最低限の礼儀をおさえた上で、自分の意見はどんどん発信すべきだ。
同じ失敗を繰り返さない
誰でもミスはするし、失敗もする。失敗は成長のチャンスなのだから、新入社員のころは特に、失敗を恐れずにいろんな仕事にチャレンジすべきだ。
だが、一度失敗したことを何度も繰り返してはいけない。当たり前のことだがとても大切だ。特に「同じ仕事で2度失敗しない」のは当然だが、「似たような仕事で2度失敗しない」ようにできるかも重要になってくる。全く同じ仕事というのはありえないが、似たような仕事というのはたくさんある。前の失敗を活かして(応用力を働かせて)、似たようなケーズでも同じ失敗を繰り返さないようにしよう。
あまりに何度も同じ失敗を注意していると、上司のほうがだんだん虚しくなってくる。
おわりに
新入社員のころは、どうしても消極的になりがちだ。特に社会に出たての新卒に至っては、右も左もわからない状態だと思う。
もちろん、謙虚な姿勢は大切にすべきだが、能動的に仕事をするのは早々と卒業しよう。
日々、「自分の頭で考え、スキルや仕事の品質を改善していくこと」こそ、できる部下になるための最短の近道だ。