ぼくはフォントが好きだ。文字を見ると、ついフォント名を考えてしまうくらいフォントが好きだ。
美しいフォントを使うだけで、デザインは何十倍にもよくなる。見やすいフォントを使えば、リーダビリティは格段に上がる。「フォントを選ぶ」というたった一つの行為だけで、受けられる恩恵は計り知れない。
この記事では、ぼくがよく使う「使いやすい」欧文・サンセリフフォントを、厳選して20紹介する。ぜんぶ今すぐ使えるフリーフォントだ。気に入ったものがあったらぜひインストールしてほしい。
Roboto
Android携帯やGoogle関連のWebサイトなどで利用されているRoboto。無料とは思えないほどのクォリティを誇る。デザイン、読みやすさ、使いやすさ、どれをとっても申し分ない。
ほかのどのフォントを差し置いても、Robotoだけはインストールすべきだ。どんな場面でも活躍する。
コピペするだけですぐにWebフォントとして使えるのも魅力だ。実際、海外のサイトでRobotoを採用しているところは多い。たとえば、世界中のWebデザインを紹介する超有名サイト、Awwwardsなどがその例だ。
Open Sans
Robotoと同じく、Google Fontsで公開されているOpen Sans。Robotoがまじめでクールな印象なのに対し、Open Sansは柔らかく優しい印象を与える。
WebフォントとしてはRobotoと並びよく使用され、きわめて高いレベルの読みやすさを備えている。
Bebas Neue
タイトルや見出しに使うと抜群の威力を発揮するBebas Neue。デザインに困ったらBebas Neueにすぐ頼りたくなってしまう、というくらいどんなデザインにも自然とマッチしてくれる。
ウェイトも豊富で、インパクトを出したいとき、カッコよく決めたいときなど、デザイナーにとってはありがたい逸品だ。
Route 159
Sora Saganoさんが作成、公開しているRoute 159。少し変わったシェイプの”g”が魅力的で、見た瞬間に愛着がわく(なぜかわからないのだが、いつも千と千尋のこだまがフラッシュバックする)。
小さい文字がつぶれにくいよう設計されているため、見出し、本文どちらに使っても重宝する。
Teko
幅の狭いフォントの中では、Bebas Neueの次にもっともよく使うフォント、Teko。最初は扱いにくいかと思っていたが、使ってみたらそんなことは全くなかった。
アルファベットもさることながら、数字が美しいので、デザインの幅が一気に広がる。ぼくは、200ptとか300ptとかまで巨大化して薄くし、背景として主張させる使い方が最も気に入っている。
Aileron
再びドットコロンさんから、Aileron。無料のネオグロテスク系フォントを探していた時に出会った。今のところ、このAileronを超えるフリーのネオグロテスク系フォントは見たことがない。
今や古くなってしまったHelvetica Neueよりもむしろモダンで、現代のデザインにはマッチするのではないだろうか。また、CC0なので、ライセンスを気にせず自由に使えるのもその魅力の一つだ。
Gidole
超有名フォントDINにインスパイアされて作られているフォント、Gidole。DIN系のフォントで、唯一無料で手に入るのがこのGidoleだといっても過言ではない。
まだRegularしか公開されていないのが残念だが、本文フォントとして活躍できるだろう。
ちなみに本サイトCruxでは、このGidoleをカスタマイズし、本文フォントとして採用している。
Ubuntu
Ubuntu OSフォントとして開発されたフォント、Ubuntu。OSフォントとして開発されているだけあって、デバイスでのLegibilityに優れている。
“t”の左側が出ていないのが特徴的で、全体的に丸っこい印象がある。OSフォントとしてとどめておくにはもったいなく、ポップな、あるいはかわいい系のデザインにフィットするので、有効活用したいところだ。
Cooper Hewitt
今回紹介するフォントの中では、一番最近に発見したフォント、Cooper Hewitt。通常よりも、わずかに文字幅が狭いのがとてもうれしい。
有名フォントは使いつくされている感もあるので、ちょっと人とは違うフォントが使いたい人におすすめだ。
Titillium
角ばったデザインが特徴的な、Titillium。使いどころを少し選ぶが、スポーツ系やデジタル系のコンテンツによく合う。個人的に、ノーマルよりもイタリックのほうが美しいと感じる珍しいフォントだ。
Google Fontから、Titillium WebというWebフォントも公開されている。
Quicksand
清楚でかわいい見た目が特徴的な、Quicksand。桜色の背景にこのフォントをのせると、びっくりするほどいいデザインに見える。
女性向けのサイトやデザインにはうってつけのフォントだ。
Montserrat
Gothamや、Proxima Novaという、海外のデザイナーが好んで使う有料フォントがあるのだが、その代替としてよく提案されるのがこのMontserratだ。
RegularとBoldしかないのが少し残念だが、日本語フォントと組み合わせても埋もれず、きちんと良さを主張してくる優れたフォントだ。
Akrobat
Bebes Neueよりもわずかに幅の広いフォントが必要になったときに重宝する、Akrobat。小文字も用意されているところがうれしい。
ウェイトも豊富なので、Bold+大文字で見出しにするもよし、Regularで本文にするもよしというように、とても使い勝手がよい。
Rajdhani
Tekoと同じデザインスタジオ、Indian Type Foundryが提供する、Rajdhani。同じスタジオのフォントだけあって、Tekoとの相性が抜群だ。
デジタルやサイバー関係のデザインを作るときに活躍するだろう。
Prime
“a free techy font”と紹介されている通り、コンピュータ関係のデザインにマッチするフォント、Prime。
上のRajdhaniと同じ路線だが、丸みを帯びているのでまた一味違ったデザインに仕上げることができる。Primeを使うときは、文字間隔を少し広めにしてやるといい感じになるので、試してみてほしい。
Kelson Sans
フリーフォントの中では有名な部類に入る、Geometricなフォント、Kelson Sans。タイトルとしてももちろん使えるが、小さな文字として並べたときのまとまり具合がとても好きだ。
クセが強くないので、どんなデザインにもすっと入り込んできてくれる。
Ropa Sans
小文字の”g”の左側が切れていて愛嬌のあるフォント、Ropa Sans。ニュートラルなフォントに飽きてきたら、Ropa Sansを使ってみよう。
Regularウェイトしかないが、タイトル、本文両方いけるすぐれものだ。
Raleway
海外のウェブデザイナーが好んで使うフォント、Raleway。ギャラリーやポートフォリオサイトなどで使われているのをよく見かける。
もともと1つのウェイトしかなかったが、人気が高かったため、現在では9ウェイトまで拡張されている。
Aller
クリーンやわらかな見た目が特徴的な、Aller。このフォントは数字が特徴的で、アクセントとして映えるのでとても気に入っている。
本文としても使えるが、少し大きいサイズのほうがこのフォントの良さを生かせるだろう。
TeX Gyre Adventor
URW Gothicがもとになっており、Ghostscriptによって広められたフォント、TeX Gyre Adventor。理系の学生ならTeX(日本語ではテフと発音することが多い)やGhostscriptにはなじみがあるだろう。
昔からあるフォントだが、今でも根強い人気があり、海外のみならず日本のサイトやデザインでもよく見かける。WindowsにバンドルされているCentury Gothicによく似ているが、その代わりにぜひTeX Gyre Adventorを使ってみてほしい。
おわりに
本当はまだまだたくさんあるのだが、今回は20に厳選して紹介してみた。
フォントはたくさん知っておいて損はないので、いつでも引き出して使えるよう、なるべく多くストックしておきたいところだ。