男なら、誰でも一度はムキムキの体にあこがれたことがあるに違いない。女性なら、モデルのように引き締まったボディラインを目指して、ダイエットやフィットネスに励む人も多いだろう。
ぼくもそんな人間の一人だ。だから一念発起してジムと契約し通ってみたのだが、恥ずかしながら挫折してしまった。続けられたのはたぶん2カ月そこそこだったと記憶している。アホなことに「またいつかいくだろう」と、行きもしないジムにいまだに会費を払い続けている。
それでも、一生に一度くらいは理想の体形になってみたいという思いから、再び筋トレに挑戦することにした。同じ方法で始めてもまた挫折するだろうから、怠惰な自分でもできる筋トレ方法を考え、実践することにした。結果、始めてから1年以上続けることができているし、自分が望む筋肉に近づいている実感がある。
この記事では、ぼくが「長く続けられている」筋トレ方法と、使っている器具やグッズを紹介していく。筋トレを続けられない方の参考になれば幸いだ。
効率的に、とか2カ月でムキムキに、とかに踊らされていた過去の自分
ジムに通い始めたころは、やる気満々だった。トレーニング方法を調べたり、トレーニングウェアやシューズ、プロテインを買ったりと、モチベーションも申し分なかった。
1カ月くらい続けると、体つきが少し変わったかな、と思えるようになってきた。このころは、仕事終わりと週末合わせて週二回、きちんと通っていた。
ところが、仕事が忙しくなってきたこともあり、だんだんと週末だけの週一回ペースでしか行かないようになってしまっていた。「もう一回行かなきゃ」と頭ではわかっていたが、ウェアを仕事に持っていくのが面倒だったり、仕事終わりは疲れていてまっすぐ家に帰りたいという心理のほうが勝るようになった。
2カ月たって自分の体を眺めたとき、「まだまだ理想の体型には遠いな……」と落胆したのを覚えている。「2カ月あれば腹筋バキバキにできる!」みたいな文句は巷に溢れているけれど、「嘘つけ!」というわけのわからない苛立ちさえ感じた。ちゃんと通わなかった自分が悪いのだから、当たり前の結果なのだけれど。
挙句、モチベーションは底をつき、「また来週いけばいいか」とか「仕事で疲れたから今週末はのんびりしたいし」とか言い訳をつけて、結局そのままジムに通うのをやめてしまった。
敗因分析をしてみる
とにかく、「筋トレはツライ」。この事実を舐めていたことに尽きる。その行為自体がツライのだから、それ以外にも弊害があったら、さらに続かなくなるのは当たり前だ。
自制心や精神力が強いひとはちゃんと続けられるのだろうが、ぼくはそうじゃない。面倒なことはやりたくないし、ツライことはなるべく避けたい人間だ。
だから、筋トレ以外で何が嫌だったかを分析してみた。
- ジムに通うことそのもの
- 着替えやシューズを持ち歩くこと
- ウェアの洗濯
- ロッカールームでシャワーを浴びたり、着替えたりする手間
- 毎日、プロテインを袋から出して、コップで溶かして飲む行為
一言でいうと、ぼくにはジムは向かないということだ。ジムに行くためには
- 準備を始めるモチベーション
- 準備をして実際に家を出てジムまで行くモチベーション
の少なくとも2つをクリアしなければならないし、次回のためにトレーニングウェアを洗濯して干したりという別のやる気まで必要になってしまう。
そこでぼくは、筋トレのためにジムに通う、という選択肢を捨てた。効率は二の次にして、まずは継続性に重点をおくことにした。
続かないジムよりも、続く自宅トレーニング
いきなりボディービルダーのような体になることは不可能だ。筋肉は、超回復を繰り返しながら徐々に成長させなければ得ることはできない。
したがって、多少効率が悪くても続けられなければ「やっていないこと」と同じだ。
だからもし筋トレをするうえで、それ以外に面倒だったり、手間だったりすることがある場合は、ぜひピックアップしてほしい。それらを排除することが、筋トレを続けられる秘訣だ。
自宅でトレーニングすれば、多くの手間を省くことができる。「本当に効き目があるのだろうか」と最初は疑心をもっていたが、調べていくうちに自宅でトレーニングしている方も世の中にはたくさんいることが分かった。
結果、「続けられれば筋肉はつく」ということは、ぼくの体験から保証できる。
自宅トレーニングを始めるために購入したもの
自宅でトレーニングするには、「自重」を使うものもあるが(たとえば腕立て伏せ)、器具があったほうが効率的であることは間違いない。狙った筋肉を発達させるためには、むしろ器具がないと難しい。
必需品、ダンベル
自宅でトレーニングするなら、ダンベルは必需品だ。胸筋や腕の筋肉、腹筋など様々な筋肉をダンベル一つで鍛えることができる。
ラバーでおおわれているもののほうが床などに傷がつかなくて安心だが、少々値が張る。ぼくは普通にスチール製の安いダンベルを利用している。
結局重さがあればいいので、これで十分だ。
ダンベルを買うときは、次の点に気を付けよう。
- 重さが変えられるものを選ぶ
- 男性なら、片腕20kgあるものを選ぶ
- 胸を鍛えるなら、右と左で2つ必要
筋トレは、続けるにしたがって負荷を上げていかなければならない。そんなとき、重さが簡単に変えられるダンベルはとても便利だ。
また、どれだけひ弱な男性であっても、半年もすれば10kgでは足りなくなってくる。20kgあると長く使えるが、重りだけ後から追加できるものもあるので、初期投資金額と相談しよう。
なお、左右1つずつあれば筋トレはできるが、適切な重さは部位によって異なる。毎回重さを調整するのは大変なので、僕は4つ所持している(サブは少し軽いものでも足りるだろう)。
ダンベルは、ひとによって適切な重さが異なる。具体的には「1セット目に12~15回が限界になる重さ」にするといいだろう。
「限界」とは、16回目を上げることができない、という意味だ。
トレーニンググローブ
ぼくははじめ、グローブなしでダンベルを使っていたのだが、結構手にまめができるし、痛くなることもあった。そこで、手のひらを保護する目的でグローブを購入した。手が汗ばんですべることもなくなり、しっかりとダンベルを持てるようになったので、一石二鳥だった。
滑るとけがをする恐れもあるので、もしグローブを使うときはきちんとウェイトトレーニング用のものを使おう。指先が開いているので、グローブの中が汗ばむのもそれなりに防いでくれる。
トレーニングマット
トレーニングにおいては、ベンチの下に敷いたり、腹筋をするときに使ったりしている。また、ダンベルは意外に置き場所に困るので、マットがあると床を傷つけることなくトレーニングに励むことができる。
あまり高いものを選ぶ必要はないが、滑ったり、汚れが付きやすいものは避けたい。
ぼくが購入したのは安いヨガマットだが、丸められるし、滑らないし、触り心地も悪くないので今でも愛用している。
トレーニングベンチ
最初はトレーニングベンチは不要かもしれない。トレーニングの習慣がついたら購入してもいい。
でも、もしお金とスペースに余裕があるなら、ぜひベンチを購入してほしい。理由は2つある。一つは胸筋を効率的に鍛えられること、もうひとつは、ベンチがそばにあるとやる気がでることだ。
ベンチを購入するときの注意点は、次の3つだ。
- 安定性があること(ガタガタしない)
- 耐荷重制限(ダンベルの負荷が加わることをわすれずに)
- 省スペース
上で紹介したベンチは安定性もよく、変なにおいもせず、しかも150kgまで耐えられるのでおすすめだ。今でも愛用している。
なお、これらのアイテムすべてを購入すると、2万円くらいになるだろう。一見高いかもしれないが、ジムに毎月会費を払う金額に比べたら安いものだ。
トレーニングメニューを決める
トレーニングメニューを決めるときは、次の点を意識しよう。
- どの部位を鍛えたいか決める
- 一つのトレーニングにつき、3セット
- 全体が1時間以内に収まるようにする
1時間以内、というのがポイントだ。それ以上やると怠惰なひとは続けられなくなってしまう。むしろやりたての頃は30分くらいでもいいかもしれない。
筋トレを始めたころに、ぼくがやったメニューをさらしておく。
ダンベルカール(アームカール) | 3セット | 上腕二頭筋 |
ダンベルショルダープレス | 3セット | 三角筋 |
ダンベルベントオーバーロウ | 3セット | 広背筋 |
ハンマーカール | 3セット | 腕橈骨筋や上腕筋 |
腹筋 | 3セット | 腹筋 |
何のトレーニングかまったくわからないひとは、まずこのひとの動画を見てみよう。
ひと月して筋トレの習慣がついてきた時点で、ダンベルプレスやダンベルフライなど、次第に別のメニューを追加していった。
重要なのは、最初は自分の続けられる種目数に絞ることだ。慣れてくれば物足りなくなるので、後で追加すればいい。
筋トレをするときは、必ず最初にストレッチをして、筋肉をほぐしておこう。急に筋トレを始めると、筋を痛めてしまう可能性がある。
ちなみに、肥満体質の人は、筋トレ以外に有酸素運動をして脂質を落とす必要がある。
トレーニングは週二回、火曜日と土曜日
トレーニングを始めたての頃は、早く筋肉をつけようと急く気持ちを抱くひともいるかもしれない。しかし、ぼくは週二回がベストだと思う。
- 筋肉は超回復によって育つ。筋肉が回復するには、およそ48~72時間(個人差あり)
- 週二回なら、無理せず続けられる
たまに火曜日に飲みに行ったりしてできないときは水曜日にずらす、というように、火曜・水曜と、土曜・日曜はフレキシブルにしている。
ただし、週一回にならないよう気を付けよう。ここをさぼるとずるずるさぼってしまう事態を引き起こす。
できれば筋トレをやる時間も決めておこう。夕食前とか、風呂に入る前、とか、普段の習慣と組み合わせるのがベターだ。
ちなみに、食後すぐに運動をするのは避けよう。
ながらトレーニングのススメ
筋トレ中はツライ。無心で筋トレだけに集中していると、早く終えてしまいたいという気持ちばかりが生まれてくる。
ただひたすら筋トレだけに集中できるひとは精神力があると思う。ぼくはそうではないから、「ながらトレーニング」をすることにした。
視線はダンベルを見ていなければ危ないから、耳で聞きながら楽しめるものを選ぶことがポイントだ。音楽好きならわかりやすい。自分の好きな音楽をガンガン流しながら筋トレに励めばいいだろう。自宅トレーニングだから、他人に気を使う必要もない。
ぼくは、録画したプライムニュースを聞きながら筋トレをしている。このニュース番組はトークメインだから、聞いているだけで楽しめる。筋トレ単体よりも、何か別のものを組み合わせるほうが確実に習慣化しやすい。
ちなみに、バラエティやお笑い番組はおすすめできない。集中力が途切れるし、力が入っているときに笑ってしまったら危険だ。
トレーニングが終わったら
自分の体を鏡で眺める
これは絶対に欠かせないポイントだ。立ち鏡でも洗面台の鏡でもいい。トレーニングが終わったら自分の体をチェックしよう。
筋トレ直後は筋肉が張っているから、体つきが変わった実感を得ることができる。そうすると「また頑張ろう」という次へのモチベーションにつなげられる。
実際、2カ月程度続けられると、張りだけでなくちゃんと筋肉がついているのを確認することができる。頑張って続ければ、体は応えてくれるのだ。
プロテインを欠かさずに
トレーニング直後は筋繊維が破壊されているから、体は修復のためのたんぱく質を欲している。筋肉が成長するチャンスなので、しっかりプロテインを採っておこう。
ジムに通っているときは、ザ・プロテインという感じの袋に入った(あまりおいしくない)プロテインを頑張って飲んでいた。プロテインはトレーニング直後だけでなく、回復している最中も摂取するべきなので、毎日飲まなければならない。これが意外に面倒だった。
新しく筋トレを始めるとき、あまり手間をかけず、サクッと飲めるものを探したところ、スティック状に梱包されているものを見つけた。
ほかのスティック状のものも試したのだけれど、溶けやすさと味の観点から、今でも毎日飲んでいる。飲んだら袋を捨てればいいという手軽さもうれしい。
食事もたんぱく質を意識して採る
サプリメントだけにたよらず、きちんと食品からもたんぱく質を摂取しよう。無理すると続かなくなるから、できる範囲でいい。
ぼくはもともと納豆が好きだったから、筋トレを始めてからはほぼ毎日食べている。また、完全栄養食品である卵も、毎日欠かさず2個食べるようにしている。
ただし、両食品ともとりすぎには注意が必要だ。特に納豆は1日多くても2パックまでにしておこう(セレンという物質が含まれており、適量は体にいいが、とりすぎると逆効果)。
なお、ほかにもたんぱく質を含む食品はたくさんある。自分が食べやすいものを選ぶといいだろう。肥満体質のひとは、脂質コントロールも忘れずに。
睡眠はしっかりとる
人間の体は、寝ている間に修復作業が活性化するようになっている。だから、筋肉がきちんと回復するためには、良質な睡眠が重要になってくる。
せっかく筋トレしても回復しなければダメージだけ残ってしまうので、睡眠はきちんととるようにしよう。
やる気がでなくなってきたら
筋トレのやる気が出なくなって来たら、モチベーションアップを図ろう。
まず、筋肉は定期的に鍛えていないと衰えていく。だから、「1日でも休めばこれまでの努力がすべて無駄になる」というマインドを持っておこう。今ではぼくは、1日筋トレの日が遅れると、焦りさえ覚える。こうなればきっと誰でも続けられる。
YouTubeで筋トレの動画を見るというのもモチベーション維持につながる。筋トレ指南動画を見てもいいし、ビフォーアフターを眺めてもいい。世界中の筋肉美をただ見ているだけでも、モチベーションは必ず沸いてくる。
ちなみに、筋トレセットは必ずすぐに使える状態にしておこう。周辺にものを置いたり、どこかにしまったりしてはならない。少しでも筋トレまでの道を妨げるものがあるなら、極力排除すべきだ。
おわりに
筋トレを続けるために重要なことは、習慣化するまで決して無理をしないことだ。どうせ結果はすぐには出ない。まずは継続させるにはどうすればいいかということを最優先で考えるべきだ。
冒頭にも書いたが、人生は一度きりしかない。死ぬ前に一度くらい、自分でもほれぼれするような体形になってみるのもいいんじゃないだろうか。才能や能力とは無縁だ。ただ週に何度か重いものを持ち上げる作業をすればいいだけだ。
筋トレをして体形が変わると、自分に自信がついてくる。筋肉がついて力があるから、たとえば上司にごちゃごちゃ言われたとしても、ほとんど動じなくなってくる。筋トレをするメリットは体の美しさだけでなく、精神力の向上にもつながるのだ。
もし筋トレを始めたいと思っているなら、今すぐ動こう。明日では遅すぎる。1時間後とかでもだめだ。今この瞬間に、眠っているトレーニングウェアを発掘しよう。車があるならスポーツショップに行ってもいい。アマゾンでダンベルを注文するのもいいだろう。なんでもいい。あなたが筋トレをやりたいと思っている今この瞬間はきっと、人生最大の契機だ。